ぬい活で幸せホルモンを高める

「ぬい活」という言葉を知っていますか?好きなぬいぐるみと一緒にすごしたり、お出かけしたり、写真を撮ったりするこの活動は、若者の間だけでなく、幅広い世代に広がっています。最近では俳優の大和田伸也さんも「ぬい活」を楽しんでいることが報じられ、世代を超えて共感を呼んでいるのです。(読売新聞, 2025)。

ぬいぐるみと「幸せホルモン」

実はこの「ぬい活」、単なる趣味や遊びにとどまらず、心と体の健康にも良い影響を与えることが研究で明らかになっています。

林・加藤ら(2019)の実証研究では、ぬいぐるみとの「触れる・抱く」といった短期的なふれあいが心理的・生理的なストレス指標に影響を与えることが報告されています。特に、柔らかいものに触れることはオキシトシン分泌と関連し、安らぎをもたらす要因として説明されています。このオキシトシンは一般に「幸せホルモン」とも呼ばれ、安心感やストレス緩和に関わる物質です。

さらに、セガトイズが行った実証実験では、ぬいぐるみと触れ合うことで副交感神経が活性化し、リラックス状態が高まることが確認されました。これは体の緊張をゆるめ、心身の安定につながることを裏づける結果といえます(セガトイズ, 2008)。

外出と交流を促す「ぬい活」

他にも、ぬいぐるみを持ち歩く趣味が「外に出る動機」や「写真撮影・イベント参加を通した人との会話」を生み、結果的に活動量の増加や社会的交流を促す例が報告されています(SHIBUYA109 lab., 2025)。散歩やイベント参加といった外出機会が増えることで、日常の歩行が増え、身体活動量の向上につながることも期待されます。

ぬい活は、現代社会の孤独感やストレスといった課題を和らげる可能性を持っています。ぬいぐるみと一緒に旅行先を巡ったり、カフェで撮影したりといった行為は「自己表現」と「癒し」の両面を満たすものであり、SNSを通じて同じ趣味の仲間と交流するきっかけにもなります。

ぬい活がもたらす3つの効果

  • 身体の安定:ストレス緩和による血圧・自律神経の安定
  • 活動の促進:ぬい撮りで外出・散歩のきっかけが生まれ、体を動かす機会が増える
  • 健康の維持:心身のリフレッシュが続くことで生活リズムも整いやすい

大人にこそ必要な「ぬい活」

ぬいぐるみは子どもだけのものではありません。大人にとっても、心を癒し、仲間をつなぎ、人生を豊かにしてくれる存在です。「ちょっと疲れたな」と感じたときは、ぬいぐるみに触れたり、一緒に外出して写真を撮ってみてはいかがでしょうか。

身体にも心にもやさしい「ぬい活」が、あなたの生活をより豊かに彩ってくれるはずです。

参考文献
・読売新聞(公開日:2025年9月27日).「俳優の大和田伸也さんがぬいぐるみを「好き」と言えるようになるまで、今は『ぬい活が生きる原動力』」(アクセス日:2025年10月7日)
・林 里奈・加藤 昇平(2019).「短期的なふれあいにおけるロボット介在活動とぬいぐるみ介在活動のストレス緩和効果の比較」.計測自動制御学会論文集第55巻第1号
・株式会社セガトイズ(2008). 遊ぶことで「癒し効果」が実証された 『夢ふくろう』.プレスリリース
・SHIBUYA109 lab.(公開日:2025年2月25日). Z世代の「ぬい活」に関する実態調査.プレスリリース(アクセス日:2025年10月7日)

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