多くの人が経験する昼食後の眠気。そんな時間帯に、短時間でおこなう積極的な仮眠「パワーナップ」が注目されています。集中力の回復やストレスの軽減など、働く人の健康とパフォーマンスを支える手段として、企業でも導入が進んでいます。
短時間の仮眠が心理的および身体的ストレス反応に与える影響について検討した帝京平成大学の研究では、被験者に対して短時間の仮眠を実施し、その前後でストレス指標を測定しました。その結果、仮眠後にストレス指標が有意に低下することが確認されました。(鵜木, 2018)
2024年に発表された広島大学大学院によるレビューでは、15~20分程度の短時間の昼寝(パワーナップ)が、眠気の低減やパフォーマンスの向上などの効果をもたらすことが報告されています。


参考資料:昼寝の功罪とパワーナップ, 2024年
特に、短時間の昼寝では深い睡眠段階に入ることが少なく、睡眠慣性(起床後のだるさ)や夜間睡眠への悪影響が生じにくいとされています。このことから、パワーナップが身体の疲労回復にも効果があると示唆されています。(林, 2024)
近年、仮眠を積極的に取り入れる企業が増えています。GoogleやAppleなどの企業では、仮眠専用スペースや設備を導入し、従業員のパフォーマンス向上を図っています。また、国内でも、従業員の生産性向上と健康維持を目的に、仮眠制度を導入する企業が増えています。
パワーナップは、働く人々の心身の健康を支える有効な手段です。短時間の仮眠を取り入れることで、ストレスの軽減や集中力の向上が期待でき、結果として業務効率の改善につながります。
とはいえ、すべての職場に仮眠スペースがあるわけではありません。そんなときは、デスクにうつぶせになったり椅子の背もたれに寄り掛かるような姿勢での仮眠でも、効果があるとされています。背中にクッションやストールを当てて姿勢をサポートしたり、アイマスクやイヤホンを活用して光や音を遮断したりすることで、よりリラックスしやすくなります。
桜十字グループでも、予防医療の一環としてウェアラブル睡眠ドックを導入し、睡眠の質に注目したサービスを提供しています。
■ メディメッセ桜十字『ウェアラブル睡眠ドック Hypnos」
ほんのひとときの仮眠でも、午後の眠気や倦怠感をリセットし、思考がクリアになる感覚を得られます。パワーナップは、「心と身体を整え、働く人のパフォーマンスと健康を支える」有効な習慣です。
今後、仮眠を積極的に取り入れる企業がさらに広がることで、社会全体のウェルビーイングが高まり、職場の生産性や満足度の向上にもつながっていくでしょう。
参考文献
・鵜木 惠子(2018), 短時間仮眠による心理的・身体的ストレス反応の軽減効果, 帝京平成大学.
・林 光緒(2023), 昼寝の功罪とパワーナップ, 広島大学大学院人間社会科学研究科.