「手持ち無沙汰」を感じたことはありませんか?
何となく手が寂しくて、ペンを回したり、袖を触ったり…。実は、認知症のある方にも、同じように“手元の落ち着かなさ”を感じる方が多くいらっしゃいます。
そんな方々の不安をやわらげるために生まれたのが、「認知症マフ」です。筒状のニットに、手を通したり、外側についたボタンやリボンなどの飾りを指先で触ったりできるよう工夫された小物で、心を落ち着かせる効果があります。海外では「Twiddle Muff(トゥイドルマフ)」と呼ばれ、高齢者施設や病院でも活用されています。実は!桜十字でもこの認知症マフの作成や活用が始まっています。
桜十字の取り組み
桜十字では熊本県のホスピタルメントさくら東館と桜十字病院が連携し、認知症マフ作り→患者さま活用をスタートしました!ホスピタルメントのお客さまの中で、編み物が好きな方に声をお掛けしまして、作成いただいたマフを、病棟にて使用しております。

認知症マフ作りに励む
ホスピタルメントさくら東館のお客さまに
お話お伺いしました!

ー今回は取材のご協力、ありがとうございます!
まずは普段どれくらい活動されているかお伺いできますか?
Aさま:毎週金曜の午後にみんなで集まって、認知症マフ作りを行っています。一人で編むのも嫌いではありませんが、皆でお話ししながら編み物をするのはとても楽しいですね。一つ編むのに私は大体1週間ほどかかりますが、これまで合計35個ほど作成しています。
Bさま:Aさんはもっと早く作業されているイメージですよ!私はまだ始めたばかりで3つほどしか作っていませんが、集中すると1日で1個作成してしまいます。以前はお部屋で過ごすことも多かったのですが、今ではいろんな方とお話ししながらマフ作りを楽しめていて、だんだんと他の(ホスピタルメントさくら東館の)イベントにも参加するようになりました。

ーとても楽しそうな集まりですね!作っている認知症マフへのこだわりを教えてください!
Aさま:たくさんありますが、認知症の方の症状がまだ分からない部分もあるので、スタッフの方に教えていただきながら改良しています。例えば、指が出てしまわないように長めに編んだり、毛糸の太さや種類を変えたりしています。他にも、認知症マフの中に入れる丸いボール?みたいなものがあるのですが、こちらの中身は綿ではなく余った毛糸を使うなど、いろいろと試行錯誤しながら進めています。

Bさま:編み方についてはAさんから教えていただくことばかりですね。例えば以前は一面四角に編んだものの端をつなぎ合わせて円形を作っていたのですが、上手く繋げなかったりだんだんと大きさが変わって長方形に編めなかったりしていました。そこで、初めから輪っかで編むと上手くいくとAさんから教わったんです!自分一人でやっていても分からないことをみんなで話し合いながらできるのはとても楽しいですね。こだわりで少しでも失敗すると気になってしまうので、全部ほどいてやり直すことも多いですね(笑)


ーこだわりが詰まったマフたちだということが分かりました。これからはどんなものを作っていきたいですか?
Aさま:これからは夏が近づくので、涼しげな素材のコットンなどで作成するのも良いかもしれませんね。桜十字さんの様々な取り組みを見て、常日頃感謝しているので少しでもその御礼が出来ればと思っています。作成したマフを使用する方にはどんな形で使っていただいても構いません。ただ、私としてはそれぞれに合った認知症マフを作りたいと思っておりますので、好みなどがあればぜひ教えていただきたいです。
Bさま:私は必要とされるものを作っていきたいと思っているので、まずはどういう方が使うのかなどを是非教えていただきたいです。可能な限り、好みに寄せていきたいと思っています。男女が分かるだけでも、大きさが異なってきます。色や装飾の好みなど、要望をいただけると嬉しいです。

ー使う方の情報を知ることが出来ると、認知症マフ作りにも精が出ますよね!インタビューのご協力ありがとうございました!
お客さまに楽しく手先を動かしていただいて作成した認知症マフを、実際に病院の患者さまに使用いただくといったウェルビーイングな取り組みの一つを今回はご紹介しました。インタビューにご回答いただいたお二人もとても素敵な笑顔で認知症マフ作りについて語ってくださいました。自分が作ったものが誰かの支えになるといった体験は、明日をより豊かに生きる励みとなることでしょう。さらに活動が活発化していくことを期待しています!