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緑がもたらす、心の深呼吸 ― 植物と共に生活することで、暮らしはより快適に、心はより幸せに

あなたは、自然や植物に触れると「ホッとする」と感じたことはありませんか?

この感覚は、人間が本能的に自然とのつながりを求める性質、「バイオフィリア(Biophilia)」に基づいていると言われています。最近、この緑の力が、私たちの心と体の健康、つまり「ウェルビーイング(Well-being)」を向上させる鍵として注目を集めています。
都市化が進む現代だからこそ、身近な場所で緑を取り入れた生活の価値が見直されているのです。

科学的根拠:植物と「癒やし」のメカニズム

なぜ植物は私たちを癒やすのでしょうか。実は、植物の存在が心身に与える良い影響は、複数の研究によって科学的に裏付けられています。

ストレスの緩和と自律神経の安定:室内植物のある環境とない環境を比較した研究では、植物が目に入るだけで、ストレスホルモン(コルチゾール)の減少や、血圧の安定が見られることが報告されています。また、植物を眺めたり、軽く手入れをしたりといった行為は、心身をリラックスさせる副交感神経の活動を優位にし、リラックス状態を高めることが確認されています(Park & Mattson, 2009)。

集中力の向上と疲労回復、精神的な健康維持:オフィスや学習空間に植物を置くことで、作業後の疲労感が軽減され、集中力や生産性が向上するという研究結果もあります。さらに、大規模な調査では、緑地が多い地域に暮らす高齢者は、少ない地域に住む高齢者に比べてうつ症状が約10%少ないことが示されています。都市部では樹木、非都市部では草地など、環境によって精神的な健康維持に寄与する緑地の種類に違いが見られますが、植物の存在が精神的な安定性に深く関わっていることを裏付けています(Nishigaki, M., et al., 2020)。

緑(植物)の力による具体的なウェルビーイング効果

「緑のある生活」は、単なる視覚的な美しさだけでなく、私たちの生活の質(QOL)を多方面から向上させます。

1.精神的な安定(心の安定): 植物が発する香り(フィトンチッドなど)や、水をあげる、葉を拭くといった「手入れ」を通した触れ合いが、日々の不安や孤独感を和らげ、安らぎと安心感をもたらします。

2.活動と交流の促進(交流の活性化): 庭の手入れや、グリーンインテリアについて会話する活動は、社会的な交流のきっかけを生み出します。また、公園や植物園への散歩は、活動量の増加につながり、身体的な健康の維持にも貢献します。

3.環境の改善(快適性の向上): 植物は、空気の浄化作用や湿度の調整機能を持っています。特に病院や施設などの閉鎖的な空間においては、緑があることで快適性が向上し、心理的に開放された空間を作り出す効果が期待されます。

大人にこそ必要な「緑活」

植物との暮らしは、情報過多な現代社会で生きる大人にとって「いつでも立ち返れる静かな場所」を与えてくれます。

「ちょっと疲れたな」「気分をリフレッシュしたい」と感じたとき、お気に入りの観葉植物を眺めたり、小さな花を飾ってみてはいかがでしょうか。

心と身体に優しい「緑活」が、あなたの生活リズムを整え、より豊かで安定したウェルビーイングな毎日を彩ってくれるはずです。

参考文献
・日経BP総合研究所(2024)緑のある環境が「暮らしているだけで健康になるまちづくり」に寄与
・日緑工誌(2014)室内の植物が人間の心身に及ぼす影響に関わる研究の現状と今後の課題
・Seong-Hyun Park1 and Richard H. Mattson(2008)Effects of Flowering and Foliage Plants in Hospital Rooms on Patients Recovering from Abdominal Surgery

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