皆さんは、日常の中で「あいさつ」を大切にしていますか?
当たり前の行為として習慣になっているからこそ、その重要性を意識する機会は少ないかもしれません。
しかし、私たちが日々何気なく交わしている「あいさつ」には、心理的・社会的な面でさまざまなメリットが存在します。
職場の士気を高める
あいさつに力を入れている企業の中には、「あいさつを徹底することで職場の士気が上がった」という成果を上げているところがあります。
静岡県磐田市役所では、2009年に磐田市長に当選した渡部修氏の強い意向のもと、職員全体であいさつの徹底が図られました。
上司が率先して手本を示すため、年2回(4月・10月)それぞれ1週間、部長や課長が午前8時から15分間、市庁舎の玄関に立ち、出勤する職員全員にあいさつをする取り組みを実施。
さらに、全職員を対象とした人事評価にも「あいさつ」の項目を導入しました。
その結果、職場全体の雰囲気が明るくなり、職員一人ひとりのモチベーションが向上。窓口での苦情が減り、クレームが発生しても大きくなることが少なくなり、市民からお褒めの言葉をいただく機会も増えたそうです。
あいさつは、相手の存在を認め、敬意を示す行為です。社員同士の間でその行為が増えたことにより、信頼関係がより強まり、良い成果へとつながったと考えられます。
人間関係にも、自分の気持ちにも良い影響
マーケティング・リサーチ会社の株式会社クロス・マーケティングが、全国20歳~69歳の男女1,100人を対象に「挨拶に関する調査(2024年)」を実施したところ、「あいさつによって人間関係に良い影響がある」と答えたのが70.9%、「あいさつによって自分の気持ちに良い影響がある」と答えたのが67.8%という結果になり、全体の約7割が良い影響があると感じていることが明らかになりました。

世代別に見ると、年齢が上がるにつれて良い影響を感じている人が増えていることがわかります。10年、20年と社会生活を続ける中で、あいさつの大切さや効果を実感する機会が増えていくからこその結果であると考えられます。
良い影響の具体的な内容として、「交友関係を深められた」「雑談から会話につながり充実感を得られた」「見た目の印象と違い、優しい人に見えた」といった意見が挙がっていました。
あいさつが信頼関係構築と幸福度上昇に役立つ理由
実際に、初対面やあまり話したことのない相手から明るくあいさつをされ、それだけで好印象を持った経験はありませんか?
あいさつには、相手に親しみと安心感を与える効果があります。
つまり、「私はあなたの敵ではありません」「あなたと良い関係を築きたいです」というメッセージを伝える行為なのです。
誰に対しても日々丁寧にあいさつを続けることで、「話しやすく誠実で信頼できる人」という印象を持たれやすくなります。さらに、場の雰囲気を和ませたり、会話のきっかけを生んだりと、コミュニケーションを円滑にする効果もあります。
また、あいさつは個人の心身にも良い影響を与えることが証明されています。
あいさつを交わすことで「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンや、「意欲ホルモン」「やる気ホルモン」と呼ばれるドーパミンの分泌が促され、ストレス軽減につながることが脳科学的にも明らかになっています。ストレスが減ることで心に余裕が生まれ、仕事への集中力や効率も向上します。

「おはようございます」「お疲れさまです」「お先に失礼します」といったあいさつは、つい義務的になりがちです。
しかし、気分が乗らない朝でも、明るい声で「おはようございます」と言われるだけで、心が少し軽くなることがあります。
ただの習慣としてではなく、笑顔を添えて一つひとつのあいさつを大切にしてみてはいかがでしょうか。
参考文献
・株式会社クロス・マーケティング 挨拶に関する調査(2024年)
「挨拶」することで自分にも人間関係にも好影響 ちょっとした声かけや目礼でもよい印象に(公開日:2024年3月21日)
・Working!
職場の挨拶って必要?磐田市役所の事例にみるあるべき職場の形とは(公開日:2018年7月26日)
